家の物を入れ替えている。新しい空気を入れて換気をするように、昔の嫌な記憶も一緒に入れ替わってほしい。そんな願いも込めて、物を新しくしている。
色々と物価高の今、思い切るのは勇気も時間も必要だった。蛮勇ではないと思いたい…。家族で相談してお金の使い方を決めて、本当に必要な物を購入した。
ずっと使っていると物は劣化していく。ていねいに扱うのは大事だし、長持ちするけれど、どうしたって古びてくるものだ。
引っ越してくる前から使っている寝具は、自分の好みとは違う家にあったから使っていたもの。要は間に合わせだ。長く使えばそれなりの愛着も湧くが、ふとした時に思い出してしまう。
連鎖して今までの嫌なことや気持ちまでぶわーと蘇って、心がぎゅっとなることがある。些細なことからそれらは起きるので、もうこれは自分の性質上仕方ないとは思う。
それでも、物をきっかけにしたものなら変えていけるのじゃないかと、割と切実な気持ちで新しい、自分が本当に使いたい物を選んだ。
有り合わせの寝具から、白に統一されて清潔感のあるベッド。視界に入れるだけで気分が上がるし、ふわふわの掛け布団が気持ちよく、それ一枚で済むことが気楽で心まで軽い。
すり減ったタオルケットや重たい毛布と一緒に、フラッシュバックするあの日々も手放して、身も心も軽々と暮らしていきたい。